2015/10/19 00:59
生き物はいつも私たちの目には見えない境界線や海域をさも当たり前のように自由に跨ぐ
パスポートなど持たずとも
身分や地位など関係なくとも
暖かい陸地を求め飛び回ったり
より健やかに暮らせる地を求めて旅する
考えるということより先に
感覚で学ぶ彼らの方が
ずっとずっと合理的でかつ利口で無垢で
それに比べて感覚を捨てた頭の冴える人類は
見えないものばかりに気を揉み
未だに気付かず線を引く
置いてけぼりをくったのは
いつの時代も人ばかり
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2015/07/12 21:02
月がもし
地球に愛想を尽くしたら
夜の息継ぎさえもできない
暗闇に
光り方を教わる蛍の道しるべが
どこにいようと”そこにいる”という安心が
失意の中にも見上げて息つく瞬間さえも
月がもし
衛星であることに嫌気がさしてしまっても
夜の海で漂う舟の帰路だけは
示してあげてくれないだろうか
2015/05/09 02:49
「おめでとう」
この言葉を人生で一番多く聞く日は間違いなく誕生日で
私はその時に手渡されるおめでとうをひとつずつ
胸ポケットにしまっておきたい
悲しい時、孤独な時、自分が見えない時なんかに
そっと取り出してみたりして
その言葉に込められた意味と
受け取った時の気持ちも一緒に思い出す
誕生日に色んな人から贈られる
「おめでとう」が集まって
幸せの気持ちが生まれるのなら
そんな欠片をいつでも小さな胸ポケットに
忍ばせられたらどんなに素敵なことだろう
2015/04/02 01:29
期待すればするほど落ちたときの反動が大きい
プールのジャンプ台から飛び込んだ時と
スカイダイブでパラシュートが開かず水面に突き落とされる深さは違う
良い風になればと 風向きが変わればと思い
高く高くへ登るほど
いざ飛び込んだ時 こっそり誰かが抜いたパラシュートはそこにはなくて
あっという間にキラキラとした不気味な海面に打ち付けられる
深く深くに傷が付き
いくつもいくつも骨が折れ
息もできずに 深海へ 奥へ 奥へと 死んでゆく
もし生きることが出来たとしても
私はすでに高い場所へ登るための足なんてものは持ち合わせてなどいない
階段のわずかな段差でさえも足がすくんで動かない
今を変えるためのこの時さえも
期待を抱くことへの恐怖で思考の全てが塗り尽くされて
息苦しくて生きているのに死んでいる気さえしてしまう
今を変える今との境を手繰り寄せ
もがいた代償ならばもっと
素敵なものだと信じてしまった心の中にまたひとつ
一滴の染みが落とされる
2015/03/26 01:12
星の目当てのつかぬほど
無数に散らばる星空を
私は一度見たことがある
隣の国よりずっと先
砂漠の国の真ん中で
月の明かりもなよな夜に
窮屈そうに列を成す彼らは一層瞬いていた
さて我らが地球はといえば
この星から何億光年も離れた星と
ミルキーウェイの大河の中に
熱や氷河を込めながら
類にも漏れず鎮座する
星の目当てのつかぬほど
無数の星を見たこたがある?
その中にひとつ
地球と呼ばれる小さな星が
私たちとおんなじように
狭い狭いと言いながら
近隣の星と上手い具合に関係を気付いているなどと
どこかの星で噂する